インドの新大統領
7月21日に、インドの新大統領が決まり、ムルムー氏が選出されましたが、
女性としては2人目、先住民部族出身者としては初の大統領となりました。
インド東部のジャールカンド州の前州知事で、任期は5年です。
ムルムー氏はモディ首相率いる与党インド人民党(BJP)を中心に
推薦を受け、野党推薦候補を大差で破っての当選となりました。
インドの大統領は、実質的には権限はなく、
内閣の助言に従って、法案の署名、首相や最高裁判所判事の任命を行うだけで、
儀礼的な役割を持っています。日本の天皇の役割に近いと言えます。
また、選挙も直接選挙ではなく、上院・下院議員や州議会により投票されます。
得票率は64.03%(2,824票)、対する野党候補は35.97%(1,877票)でした。
この結果ですが、与党であるモディ首相側の候補が波乱なく当選した、
という意味では、まあ、順当な結果なのですが、
第1回の得票率(決選投票を除く)は過去の当選者の中で2番目に低く、
野党としては与党への対決姿勢と、支持の拡大に自信を持った結果とも報道されています。
モディ人気にも陰りが出てきた結果とも言えるでしょう。
一方の首相側としては、ヒンドゥー第一主義が強く、
ムスリムや北東部の少数民族からの反発も大きくなってきている情勢の中、
ムルムー氏の大統領指名は、ヒンドゥー教のカースト外に置かれ、
差別の対象となってきた先住民族出身、
また、女性の活用、さらには、経済的な発展が立ち遅れているインド東部にも
光を当てる、ということで、総合的なバランスからの指名といえ、
そして、次回2024年に予定されている下院選挙を見越した動きであるのでしょう。
前回選挙の2019年から折り返しを越え、与野党の攻防が次第に激しくなりそうです。