ウクライナ侵攻から1年
日本でも報道が多くなっていますが、ロシアによるウクライナ侵攻から1年。
インドでもこの1年を振り返る報道が多く出ています。
<外交面>
外交面では、侵攻当初からインドは歴史的なロシアとのつながりと、
経済関係や中国の脅威を背景とした米国との関係性の中で、
完全中立の立場を取っており、現在までその姿勢を崩していません。
国連の非難決議も賛成はせず、欠席しています。
モディ首相は西側の勢力とのバランスを取りながら、
ロシアのプーチン大統領に対しても戦闘を停止するように
進言を繰り返しており、G20 バリ サミットでも各国の
同意を取るように動くなど、この侵攻を生かして、外交的な影響力を
強めるように動いているように見えます。
玉虫色の姿勢や、ロシア寄りにも見える姿勢に対して、
米国を中心としたインドへの苛立ちを感じながらも、
「平和が重要」「完全中立」を繰り返し訴える姿勢の背景には、
インドの武器輸入の全体45%程度がロシアからであり、
ロシアから短距離ミサイルも輸入していることも
強く影響しています。
政府高官もたびたび、
「旧ソ連またはロシアと何十年にも渡って、深い関係を
持っていた国にとって、それを断つことは簡単ではない」と
表明しています。
ウクライナ侵攻の中、インドは独自路線で、国際的な影響力を
高めていることが分かります。
<経済面>
世界経済としては、アフターコロナで経済が回復しつつあるなか、
サプライチェーンの混乱や、石油価格の高騰など、
大きな悪影響がありましたが、インドに関しては、2022年1Qは13.5%、
2Qも6.5%の回復が見られ、順調な回復が見られています。
米国、欧米諸国、中国と比較しても、大きな成長が見られています。
デジタライゼーションを生かして従業者数の増加が順調であることが
主な要因ですが、インフレ率もそれほど高くならなかったことも
影響してるようです。
そこには、経済制裁により西側諸国が
ロシアからの石油、天然ガスの輸入を制限する中、
インドは積極的、と言えるほど、ロシアから石油を輸入しており、
2023年度はインドの輸入に第2位になります。
すなわち、インドは需要が減ったロシアの石油を
買い叩いて購入しており、インフレ率の高騰を抑えていることになります。
このように、西側とロシアとの間で、うまく立ち回っていることが、
外交面でも経済面でもプラスに働いているように見えます。
このあたりが、したたかな国、であるところでしょう。