Hyundai が GMの自動車工場を買収

韓国の自動車メーカー Hyundai が General Motors India が
保有している マハラシュトラ州プネにある工場の買収手続きに
入ったことが報道されています。
Term sheet agreement にサインをしたと報道されており、
Term sheet は M&A における条件記述書に当たるものであり、
法的な拘束力を持つものであり、買収が正式決定となったといえます。

GMのこの工場は2008年にGMのインド進出に伴い設立されましたが、
販売が見込み通りとはいかず、2020年に製造中止となっていました。
一度は、2019年に中国の長城汽車へ売却すると決定されましたが、
中国とインドの国境付近での紛争などによる、関係悪化のため、
外資の投資を判断する政府当局の承認が得られず、
2回の計画延期が発表されたのち、白紙に戻っていました。
その後、インド国内の自動車メーカーである、TataMotors やMahindra も
買収に名乗りを上げましたが、Hyundai 自動車への売却が決定しました。

Hyundaiが買収するこの工場は年間13万台の製造能力があり、
コンパクトSUVの生産、インド国外への輸出を計画しています。
さらには、Hyundai はEVの生産として、2028年までに
インドに今後 400億ルピー(約650億円) の投資を発表しています。
マルチスズキを追い、生産台数No.2 であり、
この工場買収も積極的な投資意欲の表れであり、
周辺の地域にも土地の確保を進めています。

しかしながら、買収は一筋縄ではいかないようで、
GM India と労働者の組合との間で、複数の法廷闘争が繰り広げられており、
最高裁ではできるだけ早期の和解を求めており、
Hyundai はこの闘争の決着待ちとなっています。

インドと中国の外交関係の悪化が、
経済にも影響を与えていることが如実にわかる事象であり、
今後も中国からの投資が限定されることが想定され、
インド進出を検討する日本や韓国の企業には追い風です。
しかしながら、特に製造業については、
かつての社会主義の影響がまだ色濃く、
操業停止や撤退に際しては労働争議や労働者対策が
日本とは比べ物にならないほど強いことも
肝に銘じておく必要があるでしょう。

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