金輸入への課税強化
政府は貿易赤字への対策として、金に対する輸入関税を7.5%から12.5%へと増加させます。
これにより、4月25日以来の最高額となり、10g あたり 52,000ルピーとなったそうです。
金融大臣は「金は価格弾力性のない商品であり、輸入を諦めてもらうか、
それでも輸入したければ税金をもっと払ってもらいたい」とコメントしています。
インドは輸入の急増により、5月は233億米ドルの貿易赤字となり、
特に金の輸入が、昨年の9倍程度、6.8億米ドルから60億米ドルへと
大幅に急増したことがその大きな原因となっています。
こうした事態を受けて、政府は金の輸入に対する関税をかけることで、
貿易赤字を抑えようとしたものです。
インド人は、伝統的に金の装飾品を財産として保有することが多く、
やはりインフレに強いことや、災害や紛争でも持ち歩けることが一番の理由で、
保険のように、習慣的に金を買って持っています。
自国の通貨はもとより、他国の通貨や株などの資産は
いつどうなるかわからないという意識もあり、
(現金封鎖とか、通貨の国外取引禁止なども起こりかねないですから。)
貯蓄ならぬ貯金(文字通り!)をするようですが、
金は国内では算出されませんから、どうしても輸入が多くなるわけです。
金だけでなく、高価な宝石も同様に購入されていることもあり、
金や宝石の取引と言えば、インド人が世界的に活躍している分野にもなっています。
コロナの影響で国外への移動が難しくなったことが、間接的に
密輸の減少につながっていましたが、この課税強化により、
インド人の金を蓄財として保有するという習慣に変化がなければ、
密輸が増加するのではないか、と懸念されています。
元々、金は課税されていませんでしたが、
現モディ政権前のUPA政権(インド国民会議を中心とした連合政権)が
輸入を抑えるために課税が始まり、現政権でも継続しています。
それにしても、金だけで、1ヶ月60億米ドルの輸入ですか、
インド人の金好きにもビックリ!ですね。