モディ首相の外遊
モディ首相がイタリア・ローマで開催中のG20 に参加しており、
主要国首脳と積極的に議論をしています。
イタリア訪問は首相になり初、インドの首相の訪問としても12年ぶりです。
G20の議題として、初日はコロナ後の経済回復を、
2日目は温暖化と環境への影響を話し合い、そのまま、他国の多くの首脳と
同様に、グラスゴーで行われる国連の地球温暖化を話し合う
COP26に参加するため移動します。
特に地球温暖化ガスについては、インドは中国、米国に次いで
3番目の排出国となっており、
環境問題への貢献も求められてきています。
当然ながら、各国首脳と一堂に会した会議も重要ですが、
合間に行われる会談にも注目されます。
シンガポール首相との2国間会談が報じられており、
2国間の協力体制の強化を改めて確認したようです。
また、大きな話題となっていたのが、他国の首脳ではありませんが、
ローマ法王を訪問し、インド訪問を招待し、法王が受け入れたことで
1999年以来の訪問が実現することになりました。
インド首相がローマ法王が住むバチカン宮殿を訪問することは初めてで、
ローマ法王とインド首相の面会も1999年以来です。
インドのキリスト教徒の比率は2%程度と言われており、
ゴア州、ケララ州に多く住んでいますが、
モディ首相率いる BJP 政権はヒンドゥー教の色が濃く、
特にムスリムへの強権姿勢が目立っています。
カトリック教会もこうしたキリスト教を含む少数派の宗教に対する
差別や暴力の増加に対して懸念を示していました。
この会談では、貧困や気候変動など様々なトピックが話し合われ、
予定の20分を超えて話し合いがされましたが、
宗教の自由については話がなかったようです。
2020年4月、US Religious Freedom Panel から
インドに対して、北朝鮮、パキスタン、中国と並び
信教の自由に対する懸念のある国として挙げられました。
これは、バングラディシュ独立のころの紛争により
インドに難民として逃れてきたイスラム教徒に対して、
国籍をはく奪することを含んだ法律 CAA (Citizenship Amendment Act)が
発行されたことを理由としていましたが、
インド政府はこれを偏見に満ちた一方的なものとして非難しています。
オバマ政権時代にも信教の自由に対する言及もありました。
こうした背景からモディ首相はG20の訪問に合わせて
ローマ法王への面会、インド訪問要請をしたものと思われますが、
果たして他の宗教への差別・不寛容のイメージを
改善することができるでしょうか。