公的銀行の行方とデジタル化
インド最大の銀行でインドでは20%を超える融資・預金の
市場シェアを誇る State Bank on India(SBI) の
前会長の発言が話題となっています。
「インドには数を減らし強固な基盤の公的金融機関(銀行)が必要だ。
小規模な銀行は合併するか民営化する必要がある。」
さらには、インド中央銀行の幹部による
「公的銀行の民営化に向けた10年間のロードマップが必要」との方針に対して、
「ただ民営化するだけが目標ではない。数を減らし一部は民営化し、
強い銀行が公的な銀行として残る必要がある」としています。
中央政府の2021-22年度予算では、戦略的に公的な金融機関への投資を減らし、
2つの公的銀行を民営化するとしています。
また、2020年には政府は10の公的な銀行を4つの銀行と合併させ
公的な銀行は12まで減少させています。
しかしながら、SBI 前会長は数や民営化の問題ではなく、
インドに仮想通貨を含めたデジタル通貨を取り扱う
完全なデジタル銀行が必要である、
そのためには、リスクが十分に取れる公的でかつ健全な
銀行が必要だ、と主張しています。
デジタル通貨は中央銀行だけが発行する通貨とは異なり、
違うプラットフォームが必要、
それを評価し対応する銀行が必要、としています。
こうした意見を受けてか、金融大臣は
2022-2023年度の中央政府の予算において、
現在のルピーと同等の価値があるデジタル通貨を
インド中央銀行が発行する、と発表しています。
公共部門が強かったインドの金融業も、
民営化、合併による集約化、そして、
新しい技術への対応が求められています。