インドの出生率低下

今年実施された National Family Health Survey(NFHS) によりますと、
インド全体の女性の出生率が2.2から2.0に低下したと発表されました。
2.0 ということで、インドの自然人口の増加に
今後は歯止めがかかる、と想定されます。
インドの人口は2027年に中国を抜き、世界1位となると推測されていますが、
そのインドもいよいよ人口増加が止まる可能性が高くなりました。

この調査はインド全土の63万7千世帯を対象に行われたもので、
前回の2015-2016の調査では、出生率が2.2でした。
それ以前の初回の調査である 1992-93 では 3.7 で回を重ねるごとに
着実に低下しています。
都市部では農村部と比べやはり出生率が低いのですが、
今回の調査結果では、都市部は 1.6 と 2.0 を大幅に下回っています。
また、最初に妊娠した年齢を見ると、学歴で差が出ており、
まったく学校に通っていない女性で19.9歳、
5-7年では20.2歳、10-11年で21.7歳、12年以上では 24.9歳と、
高学歴の女性ほど初回の妊娠年齢が高くなっており、
ある意味当然ではありますが、女性の教育が進むほど、
出生率も下がっていくことが分かります。
農村でも徐々に教育を受けられる女性が増えており、
それに伴って妊娠の年齢が上昇=出生率も低下しているようです。

さらには、収入にも大きく左右されています。
所得の最下層では2.6、最上位層では 1.6 と所得が増えるに従い
出生率が低下しており、経済成長とともに出生率も
順調に下がっていっていることが示されています。
面白いのは、理想の子どもの数で、平均 1.6 という結果で、
今後も出生率が低下していくのでは、と思われます。

その他、面白い結果を示しておきます。
前回の結果が分からないので、傾向はわかりませんが、、
・農村の家庭でも95%で電気が利用できる
・19%の家庭にトイレがない
・96%の家庭で飲み水が利用できる
・人口の90%がAadhar card (アダールカード)を持っている
 -政府が発行するICカードが入った個人証明のカード。銀行口座とも紐づいている
・15歳以上の男性喫煙率は38%
・飲酒率は15歳以上の女性で1%、男性は19%

こうして見ていくと、インドが経済成長に従って、
生活水準が確実に向上していること、
また、人口大国で若者人口=労働力の多さが武器となっているものの、
今後は戦略を変えていかないといけなくなること、などなど、
いろいろと今後のインドの状況が見てくる、そんな統計結果でした。

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