インド政府予算2022
米国ではインフレへの対策として、FRBが緩和策の打ち切り、
金利引き上げを表明していますが、
インド中央銀行(RBI)は政策を変更しないことを発表しています。
続いての、アフターコロナの経済成長を支えるための
インド政府の来年度予算はどのようなものとなったのでしょうか。
少し解説していきましょう。
大きな目標として、25年後の2047年に独立100周年を迎えるまでに、
世界で有数の経済大国になることを目指しており、
そのためのロードマップが示されました。
4つの柱として、1.Inclusive development(日本語にしにくいですが、、
均等/平等な発展という感じでしょうか)
2.生産性向上 3.エネルギー転換 4.気候変動への対応 を打ち出しています。
2021-2022年度は9.2%の経済成長が予測されており、
コロナの状況が予断を許しませんが、
経済の回復が鮮明となっており、その勢いを止めず、
生産性の向上を通じて、今後5年間で成長分野で600万人の雇用を創出する
ことを目標に掲げています。成長分野としては特に環境とデジタルの
分野の成長を促進します。
財務大臣は 2022年にデジタル通貨(デジタルルピー)を発行することを表明し、
デジタル経済を成長させる施策を導入します。
さらには、2021年にはインド国内に10億米ドル以上のスタートアップ企業が
42社も登場しており、5GやFintech、E-政府 により
デジタル経済のさらなる成長と政府の透明性を高める政策を実施します。
環境投資については、2070年のCO2排出ゼロを目指し、
2030年までに280GWの太陽光発電の導入や、
公共交通の促進、EV導入のための
充電ステーションやバッテリー交換ステーションの設置を進めます。
Inclusive Developmentについては、パンデミック中に経済格差が
開いたのではないかとの認識から、女性や高齢者、農業従事者など、
経済的に弱いグループへの支援が強調されています。
そのためには、先のデジタル・環境による経済の発展や、
総延長25,000kmの高速道路と100の物流基地の建設により、
農村と都市のアクセスを改善します。
と、見ていくと、やはり日本の高度成長期と同じような課題への
対応を進めていることが分かります。
均衡ある発展(高速道路を全国に)、環境問題への対応(日本は公害問題でしたが)
成長産業への投資(日本の当時は重工業を中心とした製造業) はまさに同じ課題ですよね。
積極的な予算ではないか、と国内でも評価されている
インド政府の予算であり、来年度の経済成長も問題なさそうな気がします。